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#修復#考え方

16-2 対立解決5ステップ②:炎上を止める緊急ブレーキ「修復の試み」

16-2 対立解決5ステップ②:炎上を止める緊急ブレーキ「修復の試み」

夫婦関係において、意見の相違からくる衝突は避けられないものです。しかし、その対立がエスカレートし、関係を破壊する「四騎士」(批判、侮辱、防御、逃げ出し)が入り込むと、問題は一層深刻化します。このような状況で関係の破綻を防ぐための**「緊急ブレーキ」となるのが、ゴットマン博士が提唱する「修復の試み(Repair Attempts)」**です。

なぜ「修復の試み」が必要なのか?

多くの夫婦は、議論がヒートアップすると感情に流され、相手の言葉を冷静に受け止めることが難しくなります。特に、生理的覚醒が高まる「洪水状態」に陥ると、心拍数が上昇し(本書では「心拍数が毎分100拍を超える場合(アスリートの場合は80拍)は、パートナーが何を言おうとしているのか、どれだけ頑張っても聞き取れないだろう」と指摘されています [p.129])、建設的な対話が不可能になります。

このような状況で、議論を一時停止し、緊張を和らげる役割を果たすのが「修復の試み」です。幸せな結婚を維持している夫婦は、必ずしも完璧なコミュニケーションを取るわけではありません。しかし、彼らは**「修復の試み」を容易に送り、そして受け取ることができる**という共通点を持っています。

議論の緊急ブレーキ:修復の試みの種類

「修復の試み」は、言葉や行動を通じて「今は立ち止まろう」「これ以上ネガティブな方向に進むのはやめよう」というシグナルを送るものです。本書では、以下のような具体的なフレーズが紹介されています。

  • 感情を伝える「私」メッセージ(I Feel)
    • ×「あなたはいつも私を責める!」
    • 〇「私は今、責められているように感じているよ。別の言葉で言い換えてくれる?」(I feel blamed. Can you rephrase that?)[p.124]
    • 〇「不安になっている」(I’m getting scared.)[p.124]
  • クールダウンを促す言葉(I Need to Calm Down)
    • ×「落ち着けよ!」
    • 〇「安全な状態にできるよう、何かしてくれる?」(Can you make things safer for me?)[p.124]
    • 〇「少し時間が必要だ。後で戻るよ」(Give me a moment. I’ll be back.)[p.125]
  • 謝罪の言葉(Sorry)
    • 〇「過剰に反応してしまった。ごめんね」(My reactions were too extreme. Sorry.)[p.125]
    • 〇「私にも非があることは分かっている」(I can see my part in all this.)[p.125]
  • 合意への意思表示(Get to Yes)
    • 〇「あなたの言っていることの一部は納得できるよ」(I agree with part of what you’re saying.)[p.125]
    • 〇「この問題は、大局的に見てそれほど深刻ではないね」(This problem is not very serious in the big picture.)[p.125]
  • 一時停止の合図(Stop Action!)
    • 〇「一旦、休憩しよう」(Please, let’s stop for a while.)[p.125]
    • 〇「洪水状態になっているよ」(I’m feeling flooded.)[p.125]
  • 感謝と共感の表現(I Appreciate)
    • 〇「これはあなたのせいではないことは分かっている」(I know this isn’t your fault.)[p.125]
    • 〇「あなたの言いたいことは分かるよ」(I see your point.)[p.125]

修復の試みを「届ける」ための秘訣

「修復の試み」が成功するかどうかは、言葉の巧みさよりも夫婦関係の健全な状態に大きく左右されます。ネガティブな感情が先行している関係では、たとえ丁寧な修復の試みも「耳に入らない」ことがあります。

そのため、本書では、議論がヒートアップした際に意図的にこれらの**「定型句」を使うことを推奨しています。最初は不自然に感じるかもしれませんが、繰り返し練習することで自然に使えるようになり、相手にシグナルが届きやすくなります。そして、相手から「修復の試み」が発せられたら、それを受け入れることが非常に重要です。たとえ相手の態度がネガティブに感じられても、その背後にある「関係を良くしたい」という意図**を汲み取ることが肝要です。

まとめ

「修復の試み」は、夫婦喧嘩が泥沼化するのを防ぎ、建設的な解決へと導くための強力なツールです。感情的になりやすい時でも、意識的にこの「修復の試み」を使うことで、お互いの感情的な距離が広がるのを防ぎ、より健全でポジティブな夫婦関係を築くことができるでしょう。日々の生活の中で意識的に取り入れ、夫婦の絆を深めていきましょう。

更新日: 2026年1月10日

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