18-5 もうお金で喧嘩しない!夫婦で実践する家計管理と将来設計の3ステップ
18-5 もうお金で喧嘩しない!夫婦で実践する家計管理と将来設計の3ステップ
「また無駄遣いして!」「あなたこそ、お金に細かすぎる!」。夫婦喧嘩の原因ランキングで常に上位に挙がるのが「お金」の問題です。なぜ、愛し合って結婚したはずの二人が、お金のことになるとこうも激しく対立してしまうのでしょうか。
著名な心理学者であるジョン・ゴットマン博士の研究によれば、夫婦のお金に関する対立は、単なる経済的な意見の相違にとどまりません。その根底には、お金が象徴する個人の深い価値観や感情が隠されています。ある人にとってお金は「自由や楽しみ」の象徴であり、別の人にとっては「安心や安全」の象徴なのです。この根本的な価値観の違いを理解しないまま議論を始めると、相手をただの「浪費家」や「ケチ」と見なしてしまい、喧嘩は泥沼化してしまいます。
しかし、ご安心ください。お金の問題は、正しいアプローチを取れば「解決可能な問題」として扱うことができます。今回は、ゴットマン博士が提唱する心理学的なアプローチに基づき、夫婦が「お金の戦友」になるための具体的な3つのステップをご紹介します。
お金の問題がこじれる心理的背景
夫婦がお金で揉める最大の理由の一つは、お金に対する二つの異なる欲求の対立にあります。ゴットマン博士は、お金が私たちに与えてくれるものを「喜びや楽しみ(Pleasure)」と「安全や安心(Security)」の二つの側面で説明しています。
- 喜びや楽しみ:旅行に行く、美味しいものを食べる、趣味にお金を使うなど、人生を豊かにするための投資。
- 安全や安心:将来のための貯蓄、万が一の備え、安定した生活基盤。
夫婦の一方が「今を楽しむこと」に価値を置き、もう一方が「将来に備えること」に重きを置いている場合、対立は避けられません。これはどちらが正しいという問題ではなく、個人の育った環境や人生経験によって形成された、根深い価値観の違いなのです。この違いを無視して相手を変えようとすると、問題は解決不可能な「永続的な対立」へと発展してしまいます。
大切なのは、お互いの価値観を理解し、尊重すること。そのための第一歩が、家計の現状を二人で客観的に見つめ直すことです。
ステップ1:現状の支出を「見える化」する
まず最初に行うべきことは、夫婦がチームとして現状を把握することです。どちらかの支出を責めるためではなく、「私たちの家計は今、どうなっているのか?」という共通の課題として捉えるために、過去数ヶ月(あるいは1年間)の支出を客観的にリストアップしましょう。
ゴットマン博士は、このプロセスを通じて夫婦が協力関係を築くことが重要だと述べています。家計簿アプリやスプレッドシートなどを活用し、以下の項目について二人で支出を洗い出してみてください。
- 固定費:家賃・住宅ローン、水道光熱費、通信費、保険料など
- 変動費:食費、日用品、交際費、交通費、趣味・娯楽費など
この作業の目的は、非難ではなく事実確認です。
×「あなたが服を買いすぎるから赤字なのよ!(非難)」
〇「先月は被服費に〇円、食費に△円かかっているね(事実の共有)」
このように、客観的なデータに基づいて会話を始めることで、感情的な対立を避けることができます。
ステップ2:日々の家計を管理する「二人のルール」を作る
家計の全体像が見えたら、次は日々の管理方法について具体的なルール作りを行います。ここでのポイントは、お互いの価値観を尊重し、妥協点を見つけることです。
ゴットマン博士が推奨するのは、まず夫婦それぞれが「自分にとって幸福な生活を送るために不可欠な支出」をリストアップすることです。
- お互いの「不可欠リスト」を作成する
- 夫:「友人との月一回の飲み会は譲れない」
- 妻:「月に一度の美容院と新しいコスメは必要」
- リストを共有し、お互いの価値観を理解する
- 〇「君にとって美容が大事な時間なんだね。気分転換になる?」
- ×「そんなことにお金を使う意味がわからない」
- 実行可能な予算を立て、役割分担を決める
- 収入と支出のバランスを見ながら、お互いの「不可欠リスト」を尊重した予算を組みます。
- 光熱費の支払いは夫、食費の管理は妻、というように具体的な役割分担を決めると、責任感が生まれ、協力しやすくなります。
本書で紹介されているある夫婦は、お互いの趣味への出費で常に対立していました。そこで彼らは、それぞれの「お小遣い口座」と、子供の教育費などのための「共同貯金口座」を分けることで、お互いの自由を尊重しつつ、共同の目標にも向かうという妥協点を見出しました。
ステップ3:二人の「理想の未来」を計画する
日々の家計管理の先にあるのが、長期的な目標の共有です。5年後、10年後、どんな生活を送っていたいか、どんなことにお金を使いたいか、そしてどんな金銭的なリスクを最も避けたいかを話し合うことは、夫婦の連帯感を劇的に高めます。
ゴットマン博士は、このプロセスを「夢を語り合うこと」と表現しています。
- それぞれの「夢」を書き出す:「湖のそばに家を買いたい」「子供を大学に行かせたい」「年に一度は海外旅行に行きたい」
- それぞれの「不安」を共有する:「老後破産が怖い」「病気で働けなくなったらどうしよう」
- 「夢」と「不安」をすり合わせ、長期的な計画を立てる
ある夫婦は、「子どもの大学進学」と「マイホーム購入」という二つの大きな夢の間で板挟みになっていました。しかし、彼らは感情的に対立するのをやめ、奨学金やローンについて**チームとして情報収集を始めました。**その結果、彼らは敵対関係から協力関係へと変わり、具体的な解決策を見つけることができたのです。
お金の話は、単なる数字の話ではありません。それは、二人がどんな人生を共に歩んでいきたいのかを語り合う、最も重要で親密な対話の一つです。今回ご紹介した3つのステップを実践することで、夫婦がお互いの価値観を深く理解し、お金の問題を「共通の課題」として乗り越えていく「最強のチーム」になることができるでしょう。
更新日: 2026年1月10日