11. 6章 原則④「パートナーの影響を受け入れる」
今日からできる、相手の意見を尊重する5つのコツ
はじめに:大切なのは、気持ちよりも”どう動くか”
ジョン・ゴットマン博士は、**「パートナーの影響を受け入れること(Let Partner Influence You)」が、幸せな夫婦関係を築くための重要な鍵だと述べています。 これは、相手に合わせることではなく、「相手の考えや希望を、選択肢のひとつとして大切に扱う」**ことです。
実は、この姿勢は夫婦間の安心感を生み出し、脳の報酬系(ドーパミン回路)を活性化させることもわかっています。 つまり、相手の意見を尊重する行動は、ふたりの関係に**「心地よい感覚」**を生み出し、自然と良い循環を作り出すのです。
1. 「意見」ではなく「希望」に耳を傾ける
相手の言葉をそのまま表面的に受け取るのではなく、**その背後にある「本当の望み(希望)」**に意識を向けてみましょう。
たとえば: ・「今日は外食したい」→「息抜きをしたい」「一緒に楽しみたい」気持ちかも。 ・「部屋を片づけてほしい」→「落ち着ける空間で安心したい」願いかもしれません。
これは、心理学でいう**「意図読み(Mind Reading)」や、「積極的傾聴(Active Listening)」**のスキルに基づくアプローチです。 相手の真意に寄り添うことで、自然と関係に温かさが生まれます。
2. 小さな「イエス」を積み重ねる
ゴットマン博士は、日常的に**「小さなイエス(Yes Moments)」を重ねることが、夫婦の「情動的セーフティネット(Emotional Safety Net)」**を築くとしています。 小さな「イエス」の積み重ねが、相手にとって「この人は自分の味方だ」と感じられる”心の拠り所”となるのです。
たとえば: 〇「今すぐは難しいけど、あとで一緒に考えようね。」
×「今そんな話、無理だから後にして。」
このような前向きな返答が、関係の安心感を高めます。
3. 意見の食い違いは「対立」ではなく「共同作業」ととらえる
意見が分かれたときは、相手を**「議論の相手」ではなく「共同問題解決者(Collaborator)」**と考え直してみましょう。
心理学ではこれを**「認知的リフレーミング(Cognitive Reframing)」と呼びます。 「対立」ではなく「一緒により良い方法を探している」**と視点を切り替えることで、防衛的な態度から協調的な態度に変わりやすくなります。
4. 意見が違ったときは「重要度」を尋ねる
相手に「これはどれくらい大事なこと?」と聞くことで、お互いの本当の優先順位が見えてきます。 このプロセスは、**「メタ認知(Metacognition)」**と呼ばれ、自分や相手の考えを俯瞰して見ることができる大切なスキルです。
重要度が高いなら譲る、低ければ自分の意見も伝えてみる。このバランスが、関係の安定感につながります。
5. 最終的には「ふたりにとっての最善」を一緒に決める
意見のすり合わせが難しいときは、最終的に**「ふたりにとっての最善」を考える場に立ち返る**ことが大切です。
これは、ゴットマン博士が**「共同意思決定(Joint Decision-Making)」**と呼ぶプロセス。 この過程では、たとえ妥協が必要だったとしても、ふたりで一緒に選んだ結果であれば、満足度は高くなります。
・感情的になったときは、必ず一度時間を置いてから話し合う。
・意見が割れた場合は、「お互いにとってのメリット・デメリット」を整理してから再検討する。
・折り合いがつかない場合は、期限を決めて「まずは試してみる」という暫定的な決定を行う。
・最後まで平行線のときは、交代制で決める(今回はあなた、次回は私)。
・どちらの案も選べないときは、「ふたりにとって一番楽しい選択はどれか?」を基準に決める。
など
こうしたルールを決めておくと、主導権争いになりにくく、関係のバランスも保ちやすくなります。
さいごに:小さな「影響」を受け入れることから始めよう
相手の意見を尊重することは、特別な努力ではなく、日常のさりげない言葉や態度の中に表れます。大切なのは「完璧を目指すこと」ではなく、「昨日よりもほんの少し意識してみること」。
無理なくできることを、ぜひ今日から試してみてくださいね。その積み重ねが、ふたりの間に安心と信頼の土台を育てていきます。
更新日: 2026年1月10日