15. 性生活
■ はじめに:ふたりの距離、心だけでなく身体も
「最近、触れ合うことが減った気がする…」 性生活の問題は、とても繊細で、言い出しづらいテーマ。でも、心の距離と身体の距離は密接につながっています。
ジョン・ゴットマン博士は、情動的なつながり(Emotional Connection)が弱まると、身体的な親密さも自然と減ってしまうと指摘しています。 逆に言えば、「安心して甘えられる」心の土台があれば、性生活は無理なく自然に育まれていきます。
■ なぜ話題にしにくいのか?
このテーマは、拒絶不安(Fear of Rejection)や羞恥心の防衛反応が働きやすく、パートナーに伝えること自体が心理的なハードルになります。
また、ゴットマン博士は**「性生活が破綻する背景には、お互いに求めるものが違うことへのすれ違い」**があると述べています。
- 夫は「性」を通して安心感や達成感を得たい
- 妻は「心のつながり」が満たされることで、自然に身体的な親密さを求める
そもそものアプローチが異なる場合が多く、無意識のうちに不満が積み重なってしまうのです。
■ セックスの基礎知識に無知である人が多い
多くの人は、**「異性の身体や性心理について、ある程度は理解している」**と思い込んでいます。 しかし実際は、異性がどのような場面で安心し、どういう気持ちの流れで性的な親密さを求めるのかについて、十分に理解できていることはほとんどありません。
このような誤解があると、それが自然な反応であっても、身体の反応ひとつで過剰に落ち込んでしまうことがあります。
たとえば:
- 「いつでも勃起できるのが正常」と思い込み、そうでないと自信を失う
- 「相手が誘いにすぐ応じないのは、愛情がないからだ」と決めつけてしまう
こうした思い込みは、自分を**「性の失格者」**のように感じさせ、パートナーとの距離をますます遠ざけてしまう原因になります。
■ セックスも「技術」より「相手に合わせる感覚」が大切
たとえば、プロのシェフはどんなに高級な食材を使い、完璧な技術を持っていても、お客さまの好みを知らなければ「最高の一皿」は作れません。 逆に、特別な技術がなくても、相手の「ちょうどいい加減」「今求めている味」に合わせられれば、それは十分に満足のいく料理になります。
性生活もまさに同じです。 必要なのは**「どんなテクニックを使うか」ではなく、「いま相手は何を心地よく感じるのか」を丁寧に聞き取り、寄り添う姿勢。**
ゴットマン博士は、こうした**「相手に合わせる感覚(Attunement)」**こそが、ふたりの性生活を豊かにしていく最大のポイントだと述べています。
■ 話題にするときのコツ
- 「批判」ではなく「願い」で伝える:「最近◯◯してくれない」ではなく、「もっと◯◯できたら嬉しいな」
タイミングはリラックスしている時に:重くならないよう、軽い雰囲気で切り出す
言葉が難しければ”ふれあい”から始める:「手を繋いだり、ハグできたら嬉しいな」
また、「ブリーフ・セックス」(短時間でも満足できるセックス)という考え方も紹介されています。 忙しい現代に合わせた、無理なくふたりの親密さを保つ工夫のひとつです。
■ 会話例
〇「最近忙しかったけど、またゆっくりふたりの時間を過ごしたいね。」 ×「なんで最近全然相手にしてくれないの?」
〇「あなたに触れると、なんだかほっとするね。」 ×「もう私のこと好きじゃないの?」
■ さいごに
性生活は、特別なものではなく、ふたりの関係を深める自然なコミュニケーションのひとつ。 大切なのは、「どちらが正しい」ではなく、「ふたりがどう心地よく過ごせるか」を話し合うことです。
まずは、小さなスキンシップから始めてみませんか? 手を繋ぐ、そのぬくもりが、ふたりの心と身体の距離をそっと近づけてくれるはずです。
更新日: 2026年1月10日