9. 5章 原則③「相手から逃げず正面から向き合う」
壊れない夫婦は、意図して貯めている。―愛情の銀行預金―
はじめに:ふたりの「愛情預金」は足りていますか?
夫婦関係は、まるで銀行口座のように、**日々の小さなやりとりで「愛情の預金」**を積み重ねていくものです。 ジョン・ゴットマン博士は、「愛情の銀行預金(Emotional Bank Account)」という概念で、関係がうまくいく夫婦はこの残高が十分にあると説いています。
小さな「ありがとう」「助かったよ」という言葉が預金になり、ケンカやすれ違いは「引き出し」です。 預金がたくさんあれば多少の引き出しでは関係は揺らぎませんが、残高不足のまま「引き出し」が続くと、やがて心は閉ざされてしまいます。
小さな積み重ねが、大きな安心感をつくる
心理学では、ポジティブな感情体験の積み重ねが、「情動的なセーフティネット」を築くと考えられています。
たとえば… 〇「忙しいのにスーパー寄ってくれたんだね、ありがとう」
×「なんでこれ買ってきたの?いらなかったのに」
こうしたやりとりの違いが、ふたりの「口座残高」に大きく影響します。
危険サイン:預金が足りないときに起こる「心のシャットダウン」
預金が足りない状態が続くと、ケンカを避けるために感情をシャットダウンする**「ストーンウォーリング(Stonewalling)」**が現れやすくなります。
「ストーンウォーリング」は、まるで心に固い壁を作るように、相手とのやりとりを遮断してしまう状態を指します。無言になったり、視線をそらしたり、その場から立ち去ってしまうような行動がこれにあたります。
これは「冷静でいること」や「考える時間を持つこと」とは違い、心のつながりを一時的に断つ行為です。ジョン・ゴットマン博士の研究では、特に男性に多く見られる傾向があるとされています。その背景には、強いストレスや動揺による体の反応(たとえば心拍数の上昇など)が関係していることがわかっています。 ですので、一見冷たい態度に見えますが、実は「これ以上傷つきたくない」という心の防衛反応なのです。
こんな兆候はありませんか?
- 返事が単調になる(「うん」「別に」)
- 無表情や沈黙が増える
- 会話からすぐに話題をそらす
【会話例】 妻「今日、仕事ですごく疲れた…」 夫〇「そうだったんだね。お疲れさま。」 夫×「…へ〜(俺の方が大変だった)。」
これらは、**「預金が不足しているサイン」**ともいえるでしょう。
さいごに:今からできる「小さな入金」
関係を改善するために、いきなり大きなことをしなくてもかまいません。 今日からできる、小さな「愛情の入金」があります。
- 「ありがとう」を1日1回伝える
- 相手のいいところを心の中で3つ挙げてみる
- 会話の最後に「嬉しかったよ」と一言付け加える
こうした小さな行動の積み重ねが、ふたりの心の口座を豊かにしていきます。 その結果、多少の衝突があっても、関係は揺らがなくなるのです。
更新日: 2026年1月10日